韓国旅行に処方薬を持ち込む方法|MFDS申請・必要書類・日本側の手続き【2026年】

韓国旅行に処方薬を持って行く場合、すべての処方薬でMFDSへの事前申請が必要なわけではありません。最初に確認するのは、薬の商品名ではなく有効成分です。

韓国で麻薬・向精神薬などとして規制されている成分を自己治療目的で持ち込む場合は、日本の医師から正式に処方された薬でも、韓国入国前に食品医薬品安全処(MFDS)の承認が必要です。規制対象ではない一般的な自己使用の処方薬は、この「自己治療用麻薬類」の承認制度とは扱いが異なります。

出発前は、有効成分を確認する → 韓国で規制対象か確認する → 必要ならMFDSへ申請する → 日本側の持ち出し手続きも確認するという順番で準備すると整理しやすくなります。

目次

韓国への処方薬持ち込みは申請が必要?

処方薬を韓国へ持参するときは、「処方薬かどうか」だけではなく、韓国で規制されている成分を含むかどうかで考える必要があります。

薬の状況出発前にすること
韓国の規制成分を含まない自己使用の処方薬MFDSの自己治療用麻薬類承認の対象ではない。ただし数量や通関条件を確認する
韓国で麻薬・向精神薬などとして管理される成分を含む薬韓国入国前にMFDSの承認を受ける
大麻・CBDを含む製品など韓国で搬入が禁止されているもの海外で合法・処方品であっても持ち込まない

仁川空港本部税関は、自己使用医薬品について「6瓶または用法上3か月分以内」を、免税通関範囲の場合の要件確認免除基準として案内しています。

ただし、これは「3か月分以内なら麻薬・向精神薬などの規制薬もMFDSの承認なしで持ち込める」という意味ではありません。規制成分を含む薬については別の制度が適用されます。

一般的な医薬品の通関基準は、仁川空港本部税関の医薬品・健康機能食品案内で確認できます。

まず商品名ではなく有効成分を確認

日本で一般的に処方されている薬でも、韓国では麻薬・向精神薬などとして管理されている成分があります。そのため、「日本で医師から処方された薬だから韓国にもそのまま持ち込める」と判断するのは避けてください。

韓国公館の自己治療用麻薬類の案内では、規制対象となる薬の具体例として次の成分などが挙げられています。

  • ゾルピデム(Zolpidem)
  • ジアゼパム(Diazepam)
  • アルプラゾラム(Alprazolam)
  • ロラゼパム(Lorazepam)

また、韓国関税庁の規制成分一覧にはメチルフェニデート(Methylphenidate)なども掲載されています。これは完全な一覧ではないため、睡眠薬、抗不安薬、ADHD治療薬、鎮痛薬などを服用しているという用途だけで自己判断しないでください。

処方箋、お薬手帳、薬袋などに記載された一般名・有効成分名を確認し、不明な場合は処方した医師や薬剤師に「海外へ持参するため有効成分の英語名を確認したい」と伝えると準備しやすくなります。

規制対象ならMFDSで事前承認

韓国で麻薬または向精神薬などとして管理される成分を自己治療目的で携帯して入国する場合は、国籍を問わずMFDSの承認が必要です。

2024年12月27日からは、韓国のDrug Safety Korea(医薬品安全国)でオンライン申請ができます。専用の会員登録は必須ではなく、初回申請時にはメール認証を利用できます。

  1. 薬の有効成分を確認する
    商品名だけではなく、一般名・有効成分名、1錠あたりの含有量まで確認します。
  2. 旅行日程を確定する
    入出国日、便名、搭乗者名が確認できるe-ticketを準備します。
  3. 必要書類をそろえる
    パスポート、医師の診断書、処方箋などを準備します。
  4. オンライン申請する
    MFDS「Permit To Bring In Narcotics For Self-treatment」から申請します。
  5. 承認結果を確認する
    申請を送信しただけでは手続き完了ではありません。承認結果を確認してから渡航します。

法定処理期間は10営業日と案内されています。書類不足による補完や再提出の可能性も考え、可能であれば入国2週間以上前から準備しておくと余裕があります。

必要書類は申請画面からPDFでアップロードします。送信後は自由に添付書類を追加できず、申請内容を変更する必要がある場合は担当部署への確認が必要になるため、送信前に記載内容と添付漏れを確認してください。

MFDS申請に必要な書類

韓国への処方薬持ち込みに必要な書類を準備する様子

韓国公館の案内では、主に次の資料が示されています。

  • パスポートのフルサイズコピー
  • 入出国日、便名、入国地、搭乗者名などが確認できるe-ticket
  • 医師の診断書
  • 処方箋
  • 出発国の政府機関が発行する麻薬・向精神薬の搬出承認書がある場合はその書類

診断書には、医療機関名、患者名、処方医の氏名と署名、診断名、医薬品名と主成分、用法、1回の服用量、1日の服用量、総処方量、発行日などの記載が求められています。

処方箋についても、患者情報、発行日、主成分、用量、総処方量などが確認できる必要があります。

提出書類は韓国語または英語が原則です。その他の言語で提出する場合は、韓国語または英語の公証翻訳と原本の提出が案内されています。診断書を依頼するときは、英文で発行できるか医療機関へ確認しておくと準備しやすくなります。

出発国の政府機関が麻薬・向精神薬の搬出承認書を発行する場合、その提出によって診断書・処方箋を省略できるケースも現在の韓国公館案内に記載されています。申請時点の画面と案内を確認してください。

自己治療用麻薬類の許容期間は最大90日ですが、実際に許可される数量は旅行日程に合わせて判断されます。予備分についても上限が案内されているため、必要以上の量を申請しないようにしてください。

規制対象でない薬を持参するときの準備

MFDSの自己治療用麻薬類承認の対象ではない処方薬でも、錠剤だけを無記名のピルケースへ移して大量に持参することは避けたほうがよいでしょう。

  • PTPシートや薬局から交付された容器など、本来の包装をできるだけ残す
  • 薬名と有効成分が確認できる薬袋やお薬手帳を用意する
  • 処方箋の写しを用意する
  • 必要に応じて英文の診断書や服薬内容が確認できる資料を準備する
  • 旅行期間に対して必要以上の量を持参しない

規制対象の薬については、「数日分だけだから」「ピルケースへ移したから」といった理由でMFDS承認が不要になるわけではありません。数量より先に成分を確認してください。

日本から持ち出す側の手続き

韓国側の手続きだけでなく、日本から薬を持ち出す際のルールも確認する必要があります。

日本では、医療用麻薬や医薬品である覚醒剤原料を本人が治療目的で携帯して出国する場合、原則として事前に地方厚生局の麻薬取締部へ申請し、携帯輸出の許可を受ける必要があります。

医療用向精神薬は事前許可制度ではありませんが、注射剤の場合や、成分ごとに定められた数量を超えて携帯する場合には、処方箋の写しや医師の証明書など、治療のために必要であることを示す書類を携帯する必要があります。

韓国側のMFDS承認を取得しても、日本側の手続きが自動的に完了するわけではありません。反対に、日本で輸出許可を受けても韓国への持ち込みが保証されるわけではありません。

判断できない場合の問い合わせ先

薬が規制対象かどうかは、「睡眠薬」「痛み止め」「ADHD治療薬」といった用途や商品名だけでは判断できません。同じ目的で使用される薬でも、有効成分が異なれば扱いが変わります。

自分の薬が韓国の規制対象か判断できない場合は、有効成分の英語名、1錠または1回分あたりの含有量、持ち込む総量、韓国の入国日・出国日を整理してMFDSへ確認してください。

  • E-mail:narcotics@korea.kr
  • 電話:+82-43-719-2813

日本語での対応を前提にせず、可能であれば英語または韓国語で問い合わせる準備をしてください。

なお、大麻の持ち込みは禁止されており、韓国公館の案内ではCannabidiol(CBD)を含む製品も大麻の定義に含まれています。海外で合法的に販売されている製品や処方された製品でも、韓国へそのまま持ち込めるとは判断しないでください。

出発直前になってMFDS承認が間に合わない場合も、未承認の規制薬をそのまま携帯して入国するのではなく、MFDSと処方医へ確認してください。

この記事は2026年8月22日時点で確認できる韓国食品医薬品安全処、韓国関税庁、駐日本国大韓民国大使館、厚生労働省の公式情報をもとに整理しています。医薬品の規制区分や申請方法は変更される場合があるため、実際の渡航前に必ず最新の公式情報を確認してください。

服用中の薬を旅行のために自己判断で中止・減量・変更しないでください。服薬について不明な点がある場合は、処方した医師または薬剤師へ相談してください。

この記事の作成者について

韓国在住の韓国人で、大学では日本語を専攻しました。日本を複数回訪問し、日本人の友人の韓国旅行も複数回案内しています。

医薬品のように制度確認が必要なテーマでは個人の体験だけで判断せず、韓国政府・税関・日本政府などの公式情報を確認し、日本人旅行者が出発前に何を確認すればよいかという順番で整理しています。

※この記事は旅行時の医薬品制度に関する情報であり、診断や治療を目的としたものではありません。服薬の中止・変更は自己判断せず、医師または薬剤師に相談してください。